ロミーの怪談日記

路美子(ロミー)と申します。大学在学中。半創半実(半分創作半分実話)の怪談集です。実体験をはじめ、人から聞いた話や身近に起こった話など。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

警告

Tさんは毎晩仕事から家に帰ると、空気の入れ替えのためベッドの横の窓を開ける、というのが日々のルーティーンだった。Tさんの部屋はマンションの7階にあり、窓からは少し離れたところに大きなビルと、それに隣接する全く同じ造りのもう一つのビルが見える。…

魅せられる

階段といえばこんな話がある。小学校の時に通っていた英会話教室で知り合った、他校の友人から聞いた話だ。 友人が通っている小学校の階段には、一階から二階にかけての踊り場に全身鏡が設置されていた。たぶん多くの学校の階段の踊り場には、そういった鏡が…

ハイヒールの女

山に纏わる怖い話にありがちなものと言えば、「今さっきすれ違ったばかりの人がまた前方から現れる」というものがあります。一瞬見間違いかな、と思うんです。登山の装備ってだいたい皆似ているし、普通すれ違う人の顔なんてよく見てないですから。 それで、…

河童の存在提示

友人がどこからか持ち帰って来た話。 Hの実家は地方の、栄えも廃れもしない辺鄙な田舎町にあった。家を建てた当初は周囲一辺田んぼや空き地に囲まれていたらしいが、今では他に家も増え、家よりも田んぼの方が希少なほどに立派な住宅地へと変貌していた。 「…

こーちゃん

夏になると、とある親子がうちの近所を散歩しているのを見かける。 初めてその人たちに出会ったのは、私が小学生の頃だった。 私が近所のスーパーでおつかいをして家に帰っていると、向こうから赤ちゃんを抱きかかえたお母さんがゆったりとした足取りで歩い…

試験帰り

私がセンター試験、というか共通テストを受けた日の帰り。 だから今振り返ってもそう昔のことではない。 一日目か二日目かは忘れてしまったが、おそらく一日目の話。 英語の出来があまりに悪く、泣きそうになりながら地元の国立大学を後にしたのを覚えている…